三好一男 副代表
(日本代表総監督)
−ここまでの結果を予想していましたか。
三好 誰も予想していなかったでしょう。期待以上でした。新極真の風が吹きましたね。すべてが、その風に乗りましたよ。
−塚本選手という一つの物語が完結した一方で、若手選手の活躍により次につながる内容にもなりました。
三好 点ではなく線になりましたよね。塚本選手の優勝インタビューは昨年も感動したんですが、今年も素晴らしかった。「こういう大変な時に海外の仲間が来てくれたから大会も開けた」ということを話していましたから。彼はスーパースターの資格があるなと思いました。第10回大会までの歴史の中で3本の指に入りますよ。天才が努力をしたら、あんなふうになるんだなと思いました。夢を全部ホンモノにしてしまう。塚越選手が負けて、ベスト8に日本人が3人にしか残らなかった時、少し嫌なムードになったんですが、村山選手、島本雄二選手のがんばりもあって、最高の結果になりました。
−震災のせいもあるのか、日本勢はいつも以上にムードが良かったように思います。
三好 日本選手団に火をつけてくれたのが初出場の河鰭選手ですね。彼がヴァレリー選手に真っ向勝負を挑んで、前田選手、加藤大喜選手、落合選手など初出場組に火をつけた。水野選手も10代ですからね。ユース・プロジェクトは出来すぎと言っていいほどの結果を生みましたから、これからますます気を引き締めてがんばらないといけないと思いました。リトアニアもアンダー22の大会を始めていますし、今回の大会前にもリトアニア代表は千葉で1週間合宿を張ったんですよ。そういう「打倒日本」という大きなエネルギーに対して、こちらもそれに答えていかないといけない。お互いに切磋琢磨していけたら、もっとレベルアップしていくんじゃないかと思います。
−ロシア、カザフスタン、ポーランド、ブルガリアなど、海外でも新世代が着実に育っていることがわかりました。
三好 組織がどんどん大きくなってきていますから、海外勢もそれに比例して強くなっていますよね。これから大変ですけど、がんばりがいもあります。こういう時に塚本選手のような男が優勝したのは良かったと思います。15年前のインタビューと今回のインタビューを比べたら、空手はこんなに人を作っていくんだなと思いましたし、何度も優勝してきた中で彼のご両親が泣いているのは初めて見ました。最高の親孝行ですよ。その親孝行を若い選手たちに見せてくれたことが、日本代表総監督として一番うれしいことでした。後輩たちへ最高の見本になったと思います。 |